名古屋高等裁判所 昭和27年(う)304号 判決
検察官は、公訴を提起するか否かの権限を有するもので、取調の結果、犯罪が成立するとしても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並に犯罪後の情状を考慮して、起訴猶予とすることもできるが、この起訴猶予処分は、起訴と異り、その法律上の効果は、検察官及び裁判官を覊束する効力はなく、一度起訴猶予としていても、その後の事情の変化により、再び取調を開始し、起訴することも、何等違法ではない。従つて本件においても、被告人は一度起訴猶予になつたことがあつたとしても、検察官がその後の取調により新しい事情を発見したか又は他の犯罪を犯した疑を持つたとして、起訴したのであるから何等違法はなく、又起訴猶予にした時と何等の事情の変更がなかつたとしても、更に起訴することも、その当否が疑問となるだけで、適否については、疑問の余地もなく、適法であることが明らかである。この点に反対の見解をなす論旨は理由がない。